高槻市議会議員 高木りゅうたのブログ

高槻市議会議員・高木の活動日記

高槻市が容量市場に参入、しかし・・・

◆9月議会で21年度の高槻市決算が報告されました。

実質収支は25億7500万円の黒字決算。どえらい黒字ですが、実は

国のコロナ関係の給付金やワクチン接種関連のお金がたくさん入り、16億3000万円が歳入超過になったためです(この分は国庫に戻ります)。

◆さて、決算質疑では「容量市場」についてとりあげました。

前島のエネルギーセンターでは、ごみ焼却の熱で発電した電気の余剰分を電力会社に売っていて、昨年度は2億8000万円の収入がありました。

これに加えて昨年度、エネルギーセンターが入札を行い、「供給量」を2060万円で売り、「容量市場」に参入したのです。

「容量市場」は2020年に国が「将来の電力不足に対応するため」に創設しました。

実際の電力ではなく、発電事業者が「将来の電力供給量」を市場で電気の小売事業者に売って、そこで得た資金で発電所の維持や新設の費用にあてるというものです。

◆問題は容量市場が火力や原発などを持つ大手電力会社にとって有利な仕組みになっていることです。

詳しくはこちらのサイトをどうぞ老朽化した原発や石炭火力を温存する「容量市場」の見直しを――eシフト事務局吉田明子さん | サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan

※eシフト「電力市場リーフレット」から

◆図の通り、容量市場では発電部門と小売部門の両方を持っている大手電力は、市場から「供給量」を買いつつ、一方で発電部門は市場で「供給量」を売って収入があるので、お金が右から左に移るだけです。ほとんど負担なしで、火力や原発の設備投資の資金を得られます。

要するに脱炭素に逆行する火力発電や、使用済み燃料の処理の見通しもなく危険な原発を温存するための制度といえます。

そして発電部門を持たない新電力は「供給量」を買うコストが増えます。

2020年のオークションでは、約定価格が1万円を超える高値になって、資金力が乏しい新電力は事業が立ち行かなくなると懸念の声が上がっています。

とても不公平な仕組みになっているのです。

◆国は容量市場は「投資の予見性」を高め、将来の電力確保に有効だとうたっていたものの、その後にウクライナ戦争が起きて、エネルギーをめぐる情勢は先が読めない状態になりました。「投資の予見性」は不安定になっています。

容量市場は始まっていきなり行き詰まってしまいました。

◆こんな問題含みの容量市場に高槻市「2060万円の収入になるなら」と安直に参入したのではないかとみています。

ちなみに大阪府内で同じく容量市場に参入したのは高槻市のほか、3団体(1自治体と2つの一部事務組合)と決して多くないのです。

市が歳入を増やしたいのはわかります。

だとしても、温室効果ガス削減を進めようとしている一方で、このような制度にのっかるのはどうなのかと、環境部のなかで話にならなかったのか。

厳しいようですが思慮に欠けていたと言わざるを得ません。