高槻市議会議員 高木りゅうたのブログ

高槻市議会議員・高木の活動日記

祝島に行ってきました


山口県・上関町の祝島に行ってきました。
ドキュメンタリー映画ミツバチの羽音と地球の回転」、「祝の島」で舞台となった人口500人ほどの小さな島です。
数年前から祝島を訪れている同行者が「若者がいるのに驚いた」というほど、高齢化の進む島ですが、映画や福島原発事故の影響で人の出入りが多くなっているようでした。

左の方は「祝島島民の会」の山戸さんです。島の物産品の生産(びわの栽培、海草の収穫、タコの加工などなど)から販売までご自身でやっておられます。そして上関原発の反対運動や自然エネルギーの島内自給率を高める取り組みもされています。お忙しいなか島の案内をしていただき、お話を聞かせてもらう機会をいただきました。
  
びわの葉茶にするため、びわの枝を落とし茶に適した葉を収穫しました。右はびわの花のつぼみ。
  
細かく刻んだ葉を袋に詰めて嫌気発酵させ、天日で乾燥させる。そうするとお茶の味が一層引き立つそうです。この作り方は島のおばちゃんたちの試行錯誤によって生まれたそうで、いまやびわの葉茶は島の収入源のひとつになっています。

映画にも登場する放し飼いの豚さんです。僕が働いていた農場も豚の肥育をしていますが、通常生後9ヶ月〜10ヶ月で出荷します。ところが島の豚さんは急激に増体させるような肥育をせず、1年以上かけて飼育されるようでちょっとスマート。人にも馴れている様子でした。

自然に囲まれ、都市部とはちがった暮らしが色濃く残る祝島。その島から4キロ離れた上関町の田ノ浦に原発建設計画が進められてきました。
  
祝島では28年間多くの島民の方が原発建設に反対し続けています。写真は毎週月曜日18:30から行われている島内での原発反対デモの様子ですが、暗くてなんだかわかりません。右は「原発反対」の鉢巻を巻いた犬のマキさん。マキさんも含めこの日は50人くらい程のデモ隊でした。僕も混ぜてもらいましたがやはりお年寄りが多く、以前に比べ参加者が減り、デモコースを縮小したりとここにも高齢化の影響が出ていると聞きました。

祝島の大多数の住民が原発に反対しているとも言われていますが、もちろんそうでない方もおられました。地元の暮らしを知らない都市部の人間にはなかな理解しにくい現状が上関町にも横たわっているようです。先日の9月25日には上関町長選挙が行われ、山戸さんの父親である山戸貞夫さんが出馬。原発事故もあり、原発建設反対派の巻き返しがあるか注目されましたが、結果は残念ながらダブルスコアで落選されました。
選挙結果に僕も意外な印象を受けました。このことについて山戸さんは「こっちでは原発の問題は地域振興(お金)の問題が焦点なっている」「推進派でも現状で新規建設は難しいと思っている」「推進に費やした30年を考慮して原発に代替する地域振興策を講じてほしい」「そういう意味で原発建設が争点としてかすんでしまい現状維持で現職でという流れがあった」「そもそも上関町(本土側)のなかにも原発反対派が
いるが地縁血縁が強く作用している」「現状、役所関係、土木関係くらいしか主たる働き口がなく原発による地域振興に反対しにくい状況」などさまざまな要因が絡み合っているとのことです。
そうするとマスコミの報道は的を得ていないばかりか、恣意的に反原発の世間の空気をなんとか変えたいという狙いがあるのではないかと思います。

原発事故後、こういった中電の看板が一気に増えたとか。

祝島の港にあった看板です。

上関町(本土)にあった看板です。
  
上関町(本土)の歴史建造物「四階楼」です。

福島原発事故の凄惨ともいえる放射能被害を経験してもなお、政府は原発の是非をあやふやにしたままです。そして原発関連の交付金に一縷の望みを託すしかないと思わせるような都市部に金も権力も集中する社会構造そのものを問い直すことが無い限りこの都市部の地方に対する差別はなくならないのだと思います。
山戸貞夫さんからいただいたご自身が機関紙のインタビューで仰っていた言葉が印象的でした。
「ーー映画を見たからといってわざわざ来られる人もね。一種のブーム、トレンディーなのでしょうかね。ただ、いきなり何月何日、宿を探してくださいと言った電話も入り、差別意識を感じることもあります。」
「最近、若い人の間で反原発運動に命をかけるといった勇ましい物言いなどを聞くようになりました。私はそういうのが一番嫌いです。表に出てぱんぱん言うだけでは弱いのです。まずは生活ありきではないでしょうか。暮らしをしっかりしたものにした上でのことです。そこの所をきちんと自覚しないといけませんね。」