高槻市議会議員 高木りゅうたのブログ

高槻市議会議員・高木の活動日記

第三者委員会の検証だけでは不十分


※先日市内のギャラリーで開催された沖縄の彫刻家、金城実さんの個展で展示されていた陶板「大阪西成風景 飲み友達『物は相談よー』」
◆4日、12月議会の初日に大阪北部地震の災害対応と寿栄小学校のブロック塀事故の第三者委員会の答申と市の対応について報告があり、質疑を行いました。
◆ブロック塀事故を調査した第三者委員会は報告書のなかで
・倒壊はブロック塀内部の施工不良=手抜き工事が主原因(施工業者はすでに解散しており聞き取り等を行なっていない)
・しかし適切に法定点検を実施していたとしても(実際は点検がされておらず、市もそれを見逃していた)ブロック塀の倒壊が完全に防げるものではない
・・・などと結論付けています。
そもそも何のために安全点検をしているのかわからなくなるのですが、この結論だとどこに責任の所在があるのかはっきりしません。
◆報告書には、市職員の聞き取りから、過去に二校の小学校プールのブロック塀で、劣化が見つかったため、
撤去してフェンスに改修した事例が判明したとありました。
昨日の質問で、二校は柱本小と郡家小ということがわかりましたが、いつ、どういう経緯でどんな劣化が見つかり撤去したのかについては答弁がありませんでした。
寿栄小のプールのブロック塀が建てられたのは1974年頃です。
柱本小は1973年、郡家小は1974年と、同じ時期にプールが建てられています。
寿栄小と同時期に建てられたプールのブロック塀が、二校とも劣化が原因で撤去しているのですから、
寿栄小のプールのブロック塀も同様に劣化していると予見できたはずです。そこで何らかの対応ができたのではないでしょうか。二校のブロック塀が寿栄小と同じく手抜き工事や内部不良で撤去されていた可能性もありますが、市は詳細を答弁しませんでした。また第三者委員会もこの点について調査、検証をしていません。
◆法定点検でブロック塀の危険性を見抜けなかったとしても、他の要素や事象から市や点検をしていた業者がブロック塀の内部不良に気付く機会はなかったのか。
過去、地震によるブロック塀の倒壊事故が全国的にいくつもありましたが、
市に劣化したブロック塀に対する危険性の認識がなかったのか、あったのに何もしなかったのか・・・。
◆5年前には11の小中学校で耐震改修工事をしていたところ、校舎の壁の鉄筋が設計図書よりも少なく配置されていた手抜き工事が判明し、
市は追加で予算を組んで対策工事を余儀なくされたことがありました。
この当時も調査委員会を作り、報告書が提出されています。
報告書では1970年〜80年は学校の建設ラッシュで工事が適切に行われているかのチェックができていなかった可能性がある、と
指摘されていましたが、まさしく同じ時期に建設された寿栄小も同様に、手抜き工事が見過ごされたと推測できます(寿栄小のプールの設計図書は断面を示すもの以外は残されていないため、工事の詳細が不明)。
5年前の鉄筋不足問題の調査では、当時、工事の監理にあたっていた元市職員への聞き取り調査を行っていました。
しかし、今回の調査では「あまり意味がないだろう」という理由で同様の聞き取り調査をしていません。
本当に事故原因の究明や責任の所在を明らかにしようという意志があるのか、疑問です。
調査委員会は立ち上げた段階で10月末には答申を出すとおしりを切っていました。
◆昨日はこの質疑のあと「事故を重く受け止める」として市長や教育長らの給与を減額する条例改正案が提案されました。
しかし私たちの会派は
「9月議会で市はブロック塀事故の質問に対し、第三者委員会の調査を理由にしてほとんど答弁を拒んだ、やっとさきほど質疑ができたばかりだが、第三者委の報告には不明な点もあり、さらなる検証が必要である。市は第三者委の報告書が出て、給与減額をして、これでひと区切り、と考えているのだろうがあまりに形式的な進め方だ」と批判し、給与減額の条例案に反対しましたが、条例案は賛成多数で可決されました。
◆市と遺族はすでに(民事で)和解をしています。
しかし警察の捜査もまだ終わっていないはずですし、
これでおしまい、とはならないと思っています。

12月議会


※農林業祭にいたイノシシさん。いまにも動きそう、なはく製でした。
◆12月議会がはじまります。
議会日程はコチラ
◆初日の来週12月4日(火)は大阪北部地震における災害対応の最終報告とブロック塀事故の第三者委の答申と市の対応についてが報告され、
質疑があります。
その他提出された議案はコチラ
◆今日は議事日程などを協議する議会運営委員会がありました。
議運の後半には議会の災害時マニュアル案について協議し、出された意見をもとに手直しされたものが次回以降の議運に再度提出されることになりました。
その他、市議会だよりの一般質問の全質問者の掲載と、議会のライブ中継について具体策の提案があり、
今後協議を継続していきます。
◆議会だよりの全質問(一般質問)掲載もライブ中継も賛成ですが、議会費の予算が増えることがネックなのか、
ライブ中継導入(初期コスト約3,000万円)にあたり議会費の歳入・歳出の改革を、という提案が議会事務局から出ました。
「改革」の具体的な中身は不明ですが、「民主主義のコスト」とも言われる議会費です。単なる経費削減にならないよう慎重さが求められます。
そして予算抑制が先行して、議会だよりのリニューアルもライブ中継導入も、中途半端なものにならないようにしなければいけません。
◆議運の最後に、各会派から先日報道された大阪維新の吉田議員が有権者にタオルを配った件について、
議会に謝罪や説明がないことに対する厳しい意見が出されました。議運委員長から議会としてどう対処するか、
当事者を交えて話し合うということでお開きに。
しかし議運のやりとりを見ても維新の会派からこの件についての問題意識が感じられなかったのですが…。

水を商売の道具にするな

◆6月の地震で水道管が破裂、大阪府の老朽管率の高さが指摘されました。

ちょうど同じ時期に衆議院で水道法改正案いわゆる水道民営化法の審議中で
与党議員から「老朽管の更新を進めるためにも水道民営化を」といった主張がここぞとばかりにされていました。
衆議院では8時間という短い審議時間であっさり法案通過。
◆そして昨日、参議院で法案の審議入り。
6月の地震では断水があり、各所で応急給水に並ぶ住民の姿がありました。
改めて水の大切さを確認した方も多いはず。そんな生きる上で欠かせないものを民間企業に委ねていいのか。
・・・いいわけがない!
◆水道民営化を進めてきたのはグローバル水企業。
21世紀は水を奪い合う時代になると言われ、水は投資の対象に。
企業は水の安定供給より儲けてなんぼ。
すでに水道を民営化した国では水道料金の高騰、水質の悪化、不透明な財政運営などが問題になり、
「再公営化」に舵を切る国が増加しています。
◆そんななかで民営化法案を成立させようとする日本。
ジャーナリストの堤未果さんの新書「日本が売られる」のなかでも水道民営化が取り上げられていて、
問題点がよくわかります。
大阪市では維新市長が二度にわたって水道民営化を提案しましたが、議会に否決され実施には至っていません。
・・・んが、今回の法案では「議会の承認が不要」という特例措置が設けられることに。
また災害で破裂した水道管の復旧などは、民間企業ではなく自治体が責任をとることなるため、
民間企業は経営リスクを心配せずに利益追求ができます。
◆一応、自治体が料金の上限を定めたり、事業運営の監督をするとなっていますが、
どれだけ実効性があるかわかりません。
うまみがなければ民間企業は手を出さないわけで、なし崩し的にさらに民間に有利な内容に変えられていくことも考えられます。
高槻市では安全でおいしい水をできるだけ料金を上げないよう、努力して維持してきました。
今年の地震や台風でも給水や復旧のために市職員のみなさんが奮闘する姿を見て
命に直結する水だからこそ、公営であるべきだと痛感しました。
人口減少などによる収入減や、老朽管の更新、耐震化などの費用増加への対策は必要です。
しかしそれが民営化で解決されるとは思えません。
アメリカから兵器を買うより、インフラにお金を回す方がよっぽど「国防」になると思います。
水を金儲けの道具にするような水道民営化法案は廃案にしなければいけません。